其の四 「己の甘さを知る その3」


  先週末に行われた福岡国際はご覧になられましたか?
やはり一番の注目はYAWARAちゃんこと、田村亮子選手だったかと思います。
今回の田村選手の表情はちょっと違っていましたね。
その溢れんばかりの闘争心には”復活”にかける強い思いを感じさせられました。
”絶対に負けない”
そんなことを全身からみなぎらせていました。
私もかつて絶対に負けない、という強い思いで金メダルを獲得した経験がありますが、技術を超えた
強い思いが加わると、常識では考えられない程の力を人間は発揮することがある。そんなことを改めた
実感させられた大会でした。

さて、最終回になりますが、今回の「己の甘さを知る3」では逆に、「心に隙」がある場合の結果に
ついて触れてあります。福岡国際の田村選手の精神状態とは180度反対の状況ですね。そんな
「心の隙」が私を、涙が出るほど悔しい思いにさせました。
要は完璧に甘かった、という経験なんですが・・・。

それでは、本文に入りたいと思います。
宜しくお願いします。

結局、前大会の優勝者である小川選手には「絶対に勝つ、負けられない」という恐ろしい
ほどの気迫があった。だが私は「挑戦してみるか」という安易な気持ちだった。
既に勝負する前から心の部分で大きな差があったのだ。
試合後、周りからは、
「無差別級でよくやった、惜しかった」という声をかけられた。
試合中も観客のほとんどが身体の小さな私の応援に回っていることを感じていた。大きな相手
に挑んで戦い、負けてしまった自分に誰もが同情的だった。
だが、自分的には情けなく、恥ずかしく、悔しく、我慢しようと思ったのだが感情が抑えきれず、
心から絞り出すような涙が出てしまった。
翌日の新聞には『古賀、健闘! 満足の涙』と書かれたが、実はあの涙は悔し涙だった。たとえ、
肉体的に限界が訪れていようと、一瞬でも「大丈夫かな」と自分に甘くなったために負けたことへの
悔しさだった。
勝負の一瞬の怖さ、自分に対する甘さが負けを招くことを教えてもらった試合だった。

(終)

『精神力』(角川書店)より抜粋

(次回更新 12月27日)


「人生一直線」コラム一覧に戻る