其の十七 「リラックス−映画『ロッキー』!」

 みなさん、こんにちは。古賀稔彦です。
梅雨は終わったんですかね・・・。これからいよいよ夏本番ですね!!
スカッと晴れたとこで(柔道は屋内競技ですが・・・)、
また稽古にも更に真剣に取り組んでいきたいと思っております。

あ、今月のコーチ・コラムは古賀塾の「マドンナ」坂川幸代の担当だったんですが、
見て頂けましたでしょうか?

生徒達がドンドン成長してきているのはもちろんなのですが、コーチ陣の成長も凄いですね!私もそうなのですが、彼らも新しい環境に身を置く事によって、新たな発見があり、自分でも成長していっている事を自覚している事かと思います。この調子で古賀塾はドンドン発展していくので、皆さん、どうぞ暖かく見守ってやって下さい。

そんなコーチ陣も週二回のオフに何しているかは分かりませんが、「リラックス」の時間があるからこそ、稽古に真剣に取り組めるのです。今回も前回に引き続き「リラックス」について書こうと思います。特に私の好きな映画『ロッキー』について!では、どうぞ。

=======================================

 講道学舎時代、吉村先生は練習を突然休みにすることがあった。当時の私たちは毎日、午前と午後に練習をやっていた。日曜日も午前中は練習をして、午後だけが休みとなる。

だが突然、土曜日の夜に「明日は午前中も練習休み」と先生から言われ駒沢公園に早朝から全員で出向き中学生、高校生、吉村先生までも交えて野球やサッカーなど他のスポーツに興じることがあった。

常に個人で戦う練習ばかりしていた自分達にとっては、ゲームとして楽しめる野球やサッカーは息抜きには非常に良いスポーツだった。あるいは先生は生徒達を引き連れて映画を見にいったりもした。 不思議なもので自分の気持ち、境遇と物語を重ねあえるような内容のものを見ると異様なパワーを得るときがある。

私が東京に来て初めて見た映画が『ロッキー』だった。毎日慣れない生活で、ある意味で精神的に疲れストレスが溜まっていた時期だったかもしれない。そんな中、兄が「映画見にいくか」と最初に連れていってくれた映画が『ロッキー』だった。

絶対に勝てないと言われる状況のなかで、ロッキーが努力し戦う姿に興奮したことを覚えている。自分がロッキーになったように気持ちが高揚した。

映画館のなかで僅か二時間でも勝負のことを忘れて楽しむと、それまで張り詰めていた気持ちが楽になるように感じていた。

中学二年のときに『ロッキー2』を吉村先生に連れられて学舎生徒全員で見たように記憶している。それは、ちょうど全国中学大会の一週間前だった。日々練習だけに明け暮れる自分達には似合わない華やいだ渋谷の街を覚えている。坊主頭の集団で映画館にぞろぞろと入っていくのが少し恥ずかしいような気分だった。

既に兄に連れられて前作の『ロッキー』を見ている私は、よりストーリー展開に興奮したことを覚えている。一週間後、日本武道館での全国中学大会当日、ワゴン車に選手を乗せると吉村先生が一本のテープを取り出し「これちょっとかけろ!」と車内に音楽をかけた。「ロッキーのテーマ」だった。

今思えば、非常に純粋に、素直にこの音楽を体の中に入れていたように思う。会場に到着する頃には「自分達がチャンピオンなのだ」と闘争心が湧いていた。

この音楽の効果は馬鹿にできないものがあり、まったく優勝候補ではなかった私たちだが、その大会では優勝してしまったのだ。音楽や映画のようなもので気持ちを奮い立たせるというのもある種の心のトレーニングと言えるだろう。

(終)

『精神力』(角川書店)より抜粋

(次回更新 7月15日)


「人生一直線」コラム一覧に戻る