其の六十二 「世界の柔道家へ!」
皆さん、こんにちは。
今回は世界の柔道を少し覗いてみたいと思います。
柔道は日本の御家芸ですが、今や世界の柔道となり、
フランスでは人気スポーツベスト3に入り、競技人口も日本の競技人口の2.5倍となっています。
また、世界競技人口では第3位と、日本人の私達からすれば信じられないくらいに世界では盛んな競技となっております。
私も現役時代は世界各国でいくつもの勝負をさせて頂き、
その中で世界に熱狂的な柔道ファンが多いことはいつも感じていました。
世界に柔道が広まった一つの理由は、日本から多くの指導者が世界に渡り伝えてくれたからです。
その当時は、日本も外国も「柔の心」を学ぶことから始まりました。
しかし、今は時代の流れとともに武道からスポーツへ変わり、「人間教育」から「勝つ」ことばかりが先行
して来ました。
そして日本さえも「心の学び」がおろそかになっているのが現状です。
私は以前、現在もサンフランシスコで柔道の指導をされておられる『福田敬子先生、97才』の道場を訪問させて頂きました。
その時に一番感じたことが、道場生達の礼儀正しさや優
しさ、そして気配りでした。
まさに「精力善用」
、「自他共栄」の精神を伝え、指導されている道場だと感動させられました。
福田先生は競技柔道の前に「柔の心」をしっかりと伝えて行くことが私の役目だとおっしゃっていました。
私自身も常に嘉納先生(柔道創始者)だったら今何を考えるだろう?
どんな教えをするだろう?と「柔の心」を前提とした上で柔の道を歩き、教え子とも接していくようになりました。
世界競技人口が多い柔道だからこそ、初心に返り、
日本柔道家はもちろん、世界の柔道家たちにもそれぞれに「柔の心」を見直して頂ければ
きっと今からの「柔の道」がより深
く、大きく変わっていくことと思います。
世界の柔道家たちよ、本来の「柔の心」をみんなで考えてみませんか。
2010年11月29日
古賀 稔彦
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