其の六十七 「ちびっこ柔道家」

まだまだ先が見えず、これからの生活に不安を抱えながら
避難所生活を送られている多くの被災地の方々や
行方不明の親族を探されている方々、
また家族や両親を亡くし、震災孤児となってしまった子供たちをテレビで見ていると、
幾度も胸が苦しくなる日々が続いています。

そんな中、子供たちの無邪気な「笑顔」が、
被災地でも時より見られるようになってきました。
深い心の傷を負いながらも未来へ向けた純粋な笑顔が、
私たち、そして被災地の大人たちにも
心の安らぎと明日への希望になっていることと思います。

先月、被災地より神奈川県へ避難してきた柔道少年が、
私の古賀塾へ「稽古をさせて下さい」と訪ねて来てくれました。
2週間ほど一緒にいっぱい汗をながし、稽古をしました。
そして先月下旬に宮城県の実家へ「ありがとうございました」と
元気に帰って行きました。

大人たちには子供たちを守り、育てていく責任があります。
しかし、今の状況では大人たちも将来への不安から
落ち込む日々があるのも当たり前だと思います。
そんなときでも、私は少年たちの純粋な笑顔を見ていると、
身体の奥から熱いパワーと勇気がわいてくるのです。
そして「もっと子供たちの笑顔のために何か出来るはずだ」
そんな熱い想いが出てきます。
きっと被災地にいらっしゃる大人の方々も
そういったたくさんのパワーを感じていらっしゃると思います。
子供たちの「笑顔」こそが、これからの復興へ向け、
大きなパワーになると強く感じました。

大人たちにはそれぞれに自分ならではの得意分野や専門分野の役目があります。
私の得意分野は柔道です。
私に出来ることは、柔道での笑顔作りです。
各地の被災地状況にもよりますが、ちびっこ柔道家の子供たちが
少しでも「笑顔」になれるきっかけを作るのであれば、
どうぞ「古賀稔彦」に声をかけて下さい。

ちょっとの時間でも子供たちが大好きな柔道で仲間たちと無我夢中に汗をながせる…
そんなことが出来たら、きっとそれぞれの心に「何かが」生まれると思います。
しかしながらそんな余裕など現実的にはまだまだ先かもしれません。
それでも未来はその先に広がり、復興に向け進んでいくのです。
私たち大人のエネルギーは、ちびっこの「笑顔」です。
大人たちが頑張って行くためにも子供たちの「笑顔」が必要です。
これからもしっかり手と手を取り合い、被災地復興に
日本の皆さん、そして世界の皆さんと一緒に前進して行きましょう。

2011年4月28日
古賀 稔彦




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