其の七十 「畳が生んだ絆」

皆さんこんにちは。暑い毎日ですが、いかがお過ごしですか?
私は相変わらず柔道の稽古、そして夏の大会や合宿などで忙しく過ごしていますが、
毎日楽しく教え子たちと汗を流しております。

さて、以前に人生一直線でも紹介させて頂きましたが、私が震災後に足を運び、
地元の子供たちと柔道をやらせて頂いた岩手県大船渡市にある「時習館」道場ですが、
建物は何とか形だけ残りましたが、道場内は津波により中の畳が全滅となってしまい、
子供たちは稽古が出来ない状況になっておりました。

先日、仕事で佐賀県有田町へ出かけることになり、知人の職場である町役場へ挨拶で寄りました。
その際に町長さんと色々とお話をさせて頂いたのですが、
たまたま地元の有田中学校の柔道畳を入れ替える話を耳にしました。
私は「時習館」の道場を思い出し、町長さんに震災後の大船渡市の話をさせて頂き、
何とか入れ替えた後の中学校の畳を「時習館」へ寄贈して頂けないか、
そして、出来ることなら処分する予定だった畳の処分費用を移行して
大船渡市まで畳を運んで頂けないかと相談しました。
町長さんの早急な対応と有田町の皆さんからの心優しいご理解と
“柔の心”が一つになり、快く寄贈して頂けることになりました。

そして、先日の新聞に有田町と大船渡市が生んだ「畳の絆」の記事が私の所に届きました。
私一人では決して出来ないことでも、「誰かを、何かを思いやる」気持ちが
沢山の愛情に助けられ、大きな「力」となりました。
私は大きな感動と感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
処分されるはずの畳がまた新しい命を与えられ、
大きな役割を持って少年柔道の子供たちの夢の支えとなってくれます。
今回の大震災によって、日々様々な学びを感じております。
これからも「もっと何か出来ないか!」そんなことを常に考える自分でありたいと思います。

「時習館」のみんな、有田中学校の畳で思いっきり明日に向かって沢山の汗を流して下さいね。
そして、有田町の皆さんへの感謝の気持ちを決して忘れず、
今度はいつの日か「時習館」のみんなが誰かの何かの役に立てる、
そんな素敵な柔道家に成長して下さいね。
佐賀県有田町の皆さん、本当に素晴らしいプレゼントをありがとうございました。
有田町の畳たちが遠い岩手県で大活躍してくれます。
そして、その畳で育った子供たちが、これからの日本を必ず復興させてくれると思います。
「畳さんたち」 これからも力強く縁の下の力持ちで頑張って下さいね。

2011年8月1日
古賀 稔彦




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